朴槿恵大統領罷免で、親北朝鮮派の文在寅が大統領か? 韓国の深まる危機

 韓国議会から弾劾訴追されていた朴槿恵氏が、10日、憲法裁判所で「弾劾妥当、罷免」宣告された。

世論調査で次期大統領最有力の文在寅

 この日、ソウル市内の憲法裁前で開かれていた弾劾訴追を非難する保守系市民団体の集会は、罷免宣告後に抗議行動となって(下の写真の上;憲法裁前で韓国国旗を貼った朴槿恵氏の写真を掲げて抗議する男性)大荒れとなり、規制に出た警察機動隊との衝突で(下の写真の下)死者3人、多数の負傷者を出した。

 これにより不逮捕特権を失った朴槿恵氏は、次は検察庁から起訴される可能性が濃厚となり、同時に韓国政界は次期大統領選に向けて、暑い政治の季節に入る。

 だが大統領選となれば、世論調査でダントツのトップに居る「共に民主党」で親北朝鮮派の文在寅(写真)が当選する懸念大なのが問題だ。文は、一昨年の日韓外相合意にも否定的で、さらに米韓で合意され、配備に移されつつあるTHAADも覆しかねない。

 いずれも親北朝鮮の考えからで、韓国と極東の安全保障に大きな不安定をもたらす。

◎保守は中道の安哲秀氏に結集を

 この上は、保守系の自由韓国党(親朴槿恵派)と「正しい政党」(反朴槿恵派)が再び大同団結し、中道系の「国民の党」の安哲秀氏(写真)を共に推し、親北朝鮮の文在寅に対抗するしかない。

 今のままでは文在寅の当選の可能性が最も強いから、それだけは阻止して欲しい。仮に文在寅が大統領に就けば、国連安保理制裁を振り切って核ミサイル開発に狂奔し、金正男氏のVX使用による暗殺で、国際的孤立感を深める北朝鮮ならず者集団の金正恩は、韓国から経済支援を受けて、さらに思うがままに蛮行を突き進むだろうからだ。

 文在寅当選など、決して見たくもない光景である。

憲法の上にある「国民情緒法」の国そのまま

 さてよく言われることだが、韓国には憲法の上に「国民情緒法」がある、というおよそ立憲民主国家・法治国家とかけ離れた統治形態がある。

 つまり反日、反財閥でひとたび国民の声が沸騰すると、検察も裁判所も、「民心」と称する国民の情緒に引きずられて、一方的な訴追と判断を下す、というものだ。

 今回の朴槿恵氏を大統領職から引きずり下ろした件は、まさに「国民情緒法」の発動そのものである。毎週末、ソウル中心部で開かれる「失われた世代」の青年たちが主導する反朴集会は、まず議会と検察を動かし、ついには憲法裁まで動かした。

◎崔順実の国政介入は招いたが

 確かに朴槿恵氏が友人で女性実業家の崔順実に寄せた便宜供与は、批判されるべきものだろう。親族さえ大統領官邸である青瓦台に寄せ付けないという高潔さであったのに、逆にそれが少数の側近と友人に頼る政治につながり、崔順実の国政介入を招いた。

 しかし検察や憲法裁が断罪したように、朴槿恵氏の性格から、彼女が崔順実と通じて私腹を肥やす意図があったとは思えない。そもそも独身で子どももいない朴氏には、蓄財する動機がない。

 しかし反朴集会・デモの盛り上がりの中でメディアから次々に暴露された崔順実とサムスン電子との癒着、さらにロッテグループへの資金提供要請との関連は、おそらくは朴氏は崔順実の要望を容れただけに過ぎないだろう。

◎ほんの一握りの超エリートが手にする栄冠

 前にも本日記で書いたが(下記の日記を参照)、韓国の怒れる若者たちは救われない状況に置かれている。

 一言で言えば、彼らは一握りの超エリート学生しか成功の切符を手にできない超格差社会にいる。

 難関のソウル大など片手で指折れるくらいの名門大を卒業し、複数の外国語を習得していなければ、財閥系企業、特に超難関のサムスン電子(入社試験の競争倍率は700倍と言われる)などに入れない。

◎エリート中のエリートだけが高給を手に

 若者の失業率は10%を超え、仕事を持っていてもほとんどが非正規だ。大学を卒業しても名門大でなければ、サムスン電子どころか中小財閥系企業にも入れない。

 入っても、社内の競争も激しく、途中退社に追い込まれる。若者たちの憧れのサムスン電子すら、勤続年数は10年に満たないと言われる。

 しかしその激しい競争を勝ち抜けば、見返りは大きい。彼らエリート中のエリートだけが、数千万円の高給を手にできるのだ(サムスン財閥系全体で社員は10万人弱いるが、平均で年収1000万円という)。

 ちなみに崔順実の娘が不正入学したとしてこれも罪状の1つに挙げられ、後に受け入れ先の学長も逮捕された梨花女子大は女子の名門であり、日本で言えばお茶の水女子大か津田塾大に相当する。

 梨花女子大も難関大で、ここに不正入学したと疑惑を取り上げられた初期の段階で若者たちは激しく怒ったのだ。

◎超格差社会の上に公的社会支出も最低

 数年前、ある若い女性から聞いたことだが、その女性がしばらくソウルにいた時、仲良くなった女子大生に自宅に招かれ、行ってみると家は地下室のような貧しいあばら屋だったという。父親は、タクシー運転手だと聞いたそうだ。この父親にすれば、せめて学歴をつけさせたいと必死の思いで娘を大学に入れたのだろう。

 超学歴社会、超競争社会、財閥と非財閥との極端な差などに基づく韓国の格差がいかに著しいかは、公的社会支出という指標でうかがえる。

 これは、住宅投資や雇用・医療福祉などに投じられた公的支出で、弱者のセーフティーネットのためのものだが、わずか10.4%とOECD加盟国で最低だ。ちなみに「格差社会」と野党や「進歩的知識人」から誹謗される日本は、この倍以上もあって23.1%だ。そんな連中には、韓国を見ろ、と言いたくなるが、ともあれ落ちこぼれた層には、韓国が極めて住みにくいことは確かだ。

◎左派・親北朝鮮派の文在寅当選なら韓国は「失われた時代」に

 恋愛、結婚、出産、就職など人生のすべてを放棄した世代「N放世代」が口にする「地獄のように生きにくい韓国(Hell Korea)」という現実が、激しいジェラシーと憎悪をかきたて、そこから反財閥感情が巻き起こり、それが向けられたのが今回の朴槿恵氏の大統領弾劾であり、同時に執拗に向けられている反日攻撃の本質である。

 大統領に左派で親北朝鮮の文在寅が就けば、それでなくとも成長率2%台に混迷する韓国経済は、過度の財閥いじめと対日姿勢硬化からもっと落ち込むのは間違いない。

 どうやら韓国は、かつての日本のような「失われた時代」に入り込むことになろう。

◎これまでの関連日記

・16年12月19日付日記:「政争、デモ、流血の韓国現代史(下);対立と格差を生む社会構造、『地獄のような韓国』の極大化した若者間格差」

・16年12月17日付日記:「政争、デモ、流血の韓国現代史(上)、対立と格差を生む社会構造で、朴槿恵大統領もその犠牲に」

・16年11月7日付日記:「韓国の民衆はなぜあんなにまで怒っているのか;朴槿恵大統領の落ちたネポチズムの陥穽」

注 容量制限にタッチしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。

 写真をご覧になりたい方は、お手数ですが、http://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201703120000/をクリックし、楽天ブログに飛んでいただければ、写真を見ることができます。

昨年の今日の日記:「大津地裁の関電高浜原発の稼働停止差し止め決定という不条理」