親と友達とのはざ間で

いつも妹と一緒に遊びに出る息子、先日は事情により、1人で公園に遊びに行った。

そして、帰る約束の時間を30分過ぎても息子は帰ってこなかった。

私は出かけるついでがあったので、公園に寄ってみると、

息子は、見かけない友達と一緒に遊んでいた。

しかも、相手は女の子だった。

つい最近まで、公園などで知っているお友達にあっても、もじもじして一緒に遊べない、

それどころか、まともに挨拶もできずに、妹とばかり遊んでいた息子が、

今日は見知らぬ友達、しかも女の子と遊んでいるではないか

おそらく、自分から声を掛けたのではなく、相手から声を掛けられたのだろうとは思うが、

子供は日々成長して行くものだなと改めて思った。

私は息子に声を掛けた。

「帰る約束の時間をかなり過ぎているぞ。

 でも、今日はまだ大丈夫だから、しっかり遊んで来なさい。」

それに前後して、私の幼い頃(おそらく6歳前後の頃)の記憶がフラッシュバックした。

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幼き私は、ある日、近所で友達と遊んでいた。

夕方になり、家に帰らなければならない時間になったので、「そろそろ帰るね」と皆に告げた。

しかし、一緒に遊んでいた女の子が、「まだ帰っちゃダメ」と帰してくれなかった。

普段はこんな様子はなかったのに、私は何だか少し怖く感じた。

仕方なく、しばらく一緒に遊んでいたが、時間は刻々と過ぎ、私はそわそわし始めた。

これ以上遅くなったら、親にどれだけ怒られるか分からない。

遊びにも段々と集中できなくなり、私はとうとう帰る決意をした。

しかし、女の子は、帰ろうとする私の前に立ちはだかり、

真剣な顔つきで、両腕を広げて通せんぼをした。

とても大きな壁が目の前に現れたかのように感じ、私は一瞬ひるんだが、

持ち前の逃げ足の速さで強行突破し、その場を去った。

女の子は号泣しだした。

その直後、帽子を忘れていることに気が付き、私が一旦引き返すと、

女の子は泣くのを止め、一瞬だが笑顔になった。

私は、置いてあった帽子を取り、再び帰ろうとした。

そして、女の子は再び真剣な顔つきで通せんぼをした。

私はまたも強行突破し、女の子は再び号泣しだした。

私は女の子の様子が気にはなりながらも、家まで逃げるように帰った。

帰宅時間は1時間ほど遅くなってしまったが、幸い、親は特に怒っていなかった。

しかし、その代償として、あの子を泣かせてしまい、何となく会いづらくなってしまった。

というか、あの子は間もなく引っ越したか何かで、

それ以後、全く会っていないように記憶している。

あの子の様子がいつもと違ったのは、

「もうすぐ引越して会えなくなるから・・・」という理由だったのかもしれない。

あの時私が取った行動は不適切だったと思えるが、幼い私にはそれが精一杯だった。

今ではもう、顔も思い出せないが、

生きていれば、私と同い年か、せいぜい1歳しか違わないはず。

あの子は「ともちゃん」と呼ばれていたような気がするが、

幼い私の記憶なので、それも怪しいのだが・・・

もしかしたら、「ともこ」「ともみ」「ともえ」などという名前だったのかもしれない。

私が友達を泣かせてしまったのは、この時が最初で最後だったと思う。

それだからか、この時のことは心の中に“しこり”となって残っており、たまに思い出してしまう。

もう再び会うこともないだろうし、会えたとしてもお互いに分からないと思うが、

せめて、ともちゃん(?)が今も元気で暮らしていることを祈るばかりだ。

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過去の自分のことと重ね合わせると、

約束の時間になっても帰ってこないで女の子と遊んでいた息子を叱ることは、到底できなかった。

きっとこれからも色々とあるのだろうけれど、少しずつ成長していってくれればいいなと思った。