2017ポール・マッカートニー来日公演 前編

やっぱライブはアリーナ席だなぁ…としみじみ実感した4月29日ポール・マッカートニー来日公演なのである。

今まで3回観に来ているけれど、4回目にして初めてアリーナ席に座ること…実際にはライブ中に座っちゃいないんだけど…ができた。

どうせ毎度のスタンド席だろうと思ってロクにチケットも確認していなかったので、ホテルから会場に向かう直前にチケットを見て驚いた。

毎度ポール・マッカートニーのコンサートで思うのは、50年以上のキャリアのうちビートルズなんてたった8年なんだから、演奏曲目がビートルズナンバーを中心にするのは勘弁してほしいしということだ。

僕なんかはウイングスの全盛期世代なもんで、周りのポール・マッカートニーファンの中には「ビートルズナンバーなんて知らん」という連中も結構いた。いやいや、ビートルズ時代から含めてポール・マッカートニーの曲を聴いているなんて人間は逆に少数派…なんちゅーか「通(ツウ)」の部類だったわけである。

ところが、時は流れて今やポール・マッカートニーは元ビートルズ…というか、「一人ビートルズ」的な存在として世間に(本人自身も?)認識されるようになってしまった雰囲気である。

来日の度のマスコミの取り上げ方はもちろんだけれど、ライブをスタンド席で観ているとそのことを痛切に感じさせられる。

ビートルズナンバーを演奏している時とウイングス〜ソロ時代の曲を演奏している時では明らかに客席の熱狂度が違うのだ。

…なんだかなぁ…という感じである。

ところが、今回初めて座ったアリーナ席の状況はスタンド席から眺めていた状況とはまったく違っていた。

ライブの開演30分ほど前からステージ両脇のモニタースクリーンに全キャリアを通したポールの映像が映し出されて、そのバックには全キャリアを通したポールの楽曲がいろいろとコラージュされて流れるのだけれど、曲が「心のラブソング」になった時のことである。

アリーナ席ではサビの「I LOVE YOU」のリフレインに合わせての大合唱が始まったのだ。

この曲はビートルズ解散後、ウイングスを率いて初のアメリカツアーを行った頃に大ヒットした曲である。

評論家の「結局ポールはおバカなラブソングしか書いていない」という批評に対して「おバカなラブソングで何が悪い」と、ミスター長嶋的に開き直って歌う、ポール・マッカートニー最大のメッセージソングなのだ。

この思想の無い天然天才音楽家のテーマ曲をファンが大合唱するというのは実に感慨深い。もちろん僕も一緒に歌った。

ここに集まった人たちは全キャリアを通してポールの楽曲を聞いてきた人たちなんだなぁと、スタンド席ではわからなかった真実を実感した次第である。

まぁ、そもそも、スタンド席自体がコンサートに参加しているというよりも、アリーナ席の様子も含めてコンサートを眺めているという感じなのに対して、アリーナ席はその渦中に身を置いているという感じだから、それだけでアドレナリンが上昇しちゃうのだけれど…

つづく