第九章26

まあ、結果はどうだったか?

良くも無く、悪くも無くか

肝心の桜は半ジゴロの涼太君に未練があり、危ういのだが、どちらにせよ、自分が二度目の詐欺に遭ったことは理解した。

経理部所属で、自分こそは論理派と任じていた自分自身の弱さに、改めて気が付いたはずだ。

確かに、涼太君は三人のお姉さん側に問題があり、その反発でジゴロ道を辿った理由はあるものの、女性に夢を与える代わりに、何らかのお小遣いを貰っていたし、何人かの女性を泣かした事実も明らかになっている。

そして、萬戸さん。

彼も半結婚詐欺師だ。大卒という偽証も、そして、それを表す為に日ごろから勉学に努めている姿勢が評価する。

更に、宇宙への憧れをあたかも抱いているかの演技は迫真のものだった。

きっと、素顔でも宇宙飛行士への夢を捨て切れずに居るのかもしえない。

それにしても、どっちもこっち

夢が無くては、男も女も前に進めない。

特に、女は恋無くしては、干上がってしまう。

だから、簡単に騙される。

ジゴロや詐欺師が繰り出す嘘なる夢の数にだ。

騙されるからこそ、夢。

そんな居直りが私たちには知らぬ間に、心の中に居座っているのかもしれない。

夢は見た。

桜も、そして、私もだ。

一瞬、結婚という夢を見た。

私は萬戸さんが語る宇宙物語。

そして、桜は年下からの求愛物語。

それで十分だ。

妊娠偽証事件も、ひとえに妊娠できない、妊娠を許容されない立場の裏返しでもあった。

第一、私の年齢で子供など出来る訳が無かった。

それ以上に、萬戸さんに実年齢を知られないように、上手に全裸を見せないように苦労した。

相手は詐欺師。

そう簡単には誤魔化せない。

そう覚悟していた。

一方、涼太君も桜の出産跡には気が付かなかったようだ。

これも不幸中の幸いだった。

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