羽根木。

7月24日(月)。

大きなきゅうりと美しい桃を頂いた。

両方ともまだ食べていない。

感想と写真はまた後で。

とりあえず感謝の言葉を。

いつも有難う。

東大学長、蓮實重彦邸の横の小さなアパートに住んでいたことは何度も書いた。

でも、その頃蓮實重彦氏は東大学長でもなく、雑誌に仏文学者として記事を寄稿しているだけだった。

御自宅も蓮實重彦氏の表札ではなく、多分お父上の表札だったが、良く似た名前だなあと思っていた。

そのうち、きっと奥様だろうフランス人の大きな女の人を見かける様になり、家を新築して表札が蓮實重彦名義になった。

高そうな厚手の生地のコートを着て、出かけるところを何度か見かけた。

住んでいたところは住所は羽根木だが、最寄駅は井の頭線の東松原。

特急も止まらないのんびりしたところだ。元々作家の小林信彦氏が住んでいたのは知っていたが、家を探そうなんて気にはならない。

でも、一度商店街で写真で良く見る和服姿の小林信彦氏を偶然お見かけした時は嬉しかったなあ。

そう言えば、図書館で読んだ「週刊文春」。今週も小林信彦氏のエッセイが載ってない。

心配だ。

東松原より一つ渋谷寄りに新代田駅がある。

駅を降りると目の前に環七が走っている。

環七を渡るとそこからは、住所的には羽根木になる。

環七を渡って直ぐの所に「橋本忍」の表札を見つけた時は驚いたなあ。

橋本忍黒澤明作品の脚本を担当した有名な方だ。

立派な門構え、家屋は見えない。

いや、昔の映画人は稼いでたんだなあ。

あの頃は良く散歩した。徘徊ではない。

月明かりの綺麗な夜。

一軒の古い民家があった。

羽根木は閑静な住宅街で、それほど大きい家もないが、それなりに瀟洒な家が並んでいる。

その中で一際目立つ古い民家。

門の代わりに薔薇の花がアーチ型に飾られている。

吸い寄せられる様に家に近づいて表札を見た。

中井英夫

中井英夫は、塔 晶夫名義で探偵小説「虚無への供物」を書き、実は短歌編集者として、塚本邦雄寺山修司、春日井建を見出し世に送り出した人だった。

一時期、中井英夫の書く幻想小説に魅せられて読み続けたことがある。

タイトルは「薔薇」とか「黒鳥」がついていた気がするが、今はすっかり忘れてしまった。

ただその夜、薔薇のアーチに飾られた古い民家は作者の書く文体、世界そのものだと思った。

月明かりの夜、青とも黒ともつかない静かな光沢の薔薇に囲まれた家。

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